医学、紛らわしい/意味がわかりにくい言葉

 

医学用語はかなり流行り廃りがあるし、外国語からの訳がバラバラだったりしてかなり紛らわしい。

生理学

・伝導/伝達

神経軸索を活動電位が伝わるのを伝導といい、シナプス間を情報が伝わることを伝達という。

 

腫瘍

・bland

「良性」。bland cell、bland-lookingなどという形で使われる。

 

神経

・麻痺、筋無力症、筋力低下

麻痺は神経の障害により筋肉が運動できないことを言う。筋無力症は神経-筋接合部の障害による筋の運動障害を言い、重症筋無力症とランバートイートン筋無力症に特有である。筋力低下は、筋が動かない状態全てを言う。

 

・中枢/抹消神経

さまざま定義があるが、その一つでは髄鞘の種類で区別される。この定義では脳神経の一部(視神経など)は中枢神経であり、したがって視神経脊髄炎など中枢神経を侵す疾患でも脳神経が侵される事がある。

 

・wide-baset gait

酩酊歩行。開脚歩行だと思った。

 

血液

・表試験/裏試験、主試験/副試験

どちらもABO血液型に関する試験だが、表試験は患者血球を試験血清に入れ、主試験は患者血清に試験血球を入れる。表試験が患者血球だから、主試験も字面的に同じだろうと考えると逆になる。

 

消化器

・下血

狭義では上部消化管出血による黒色便を言うらしい。ネットで調べるとそうしている物もあり、血を含む(下部消化管出血によるものも含む)場合もありでイマイチわからない。

 

呼吸器

・dependent portion of the lungs

下肺野。初見では絶対にわからない。

・Kronig野(ローニン野? oにウムラウトがつく)

肺尖部のこと。ググっても出ない。

・靴匠胸(cobbler's chest)

cobbler's chestで検索すると漏斗胸(pectus excavatum)が出る。漢字がなんて読むかわかない。カショウキョウ? 日本語でググっても出ない。

 

産科/婦人科

・preeclampsia

≒妊娠高血圧腎症。pre-(前の)+eclampsia(子癇)なので、前子癇などと訳しそうだが違うらしい。アメリカと日本で妊娠高血圧症の概念が違うのかな?

 

薬理学

・麻薬の医学/法律での使用

医学的な「麻薬」はオピオイドに限定され、法律では違法薬物全般をさす。なので「医師として直ちに届けるべきものはどれか。一つ選べ」という問題の選択肢には「麻薬」と「メタンフェタミン」が並んでいたりする。

 

その他

・tenderness

圧痛。abdominal tendernessを腹部が柔らかい? 筋性防御なしって言いたいの? って思った記憶があります。

医学、雑多な知識

勉強してへえ! と思ったことを書いていきます。めんどいので菌名の斜体などは省略します。

間違っている部分、「ホントは違うけどこう覚えたほうが覚えやすいや」の記憶がホントの記憶に置き換わってしまった部分などがあるかもです。

コメント欄で指摘してくれたら嬉しいです。

組織学

・乳腺はアポクリン腺が特殊な分化をしたものである。

したがって両者の分泌様式は断頭分泌(アポクリン分泌)である。

アポクリン腺は毛包に開口する

したがって毛のある部分にアポクリン腺がある。腋窩部、陰部、乳輪、耳孔など。

メラノサイト数には人種差がない。

肌の色素量はメラノサイトの産生能などで調節される。

メラニンの原料はチロシンである。

したがってフェニルケトン尿症では白色皮膚となる。

 

血液

IgMが抗原-抗体反応を起こす疾患としては関節リウマチとABO血液型不適合などがある。

自己免疫って全部IgGだと思ってました。

 

循環器

・大動脈解離ではST上昇を認めることがある。

解離で形成された内膜弁(flap)が冠動脈の入り口を塞いだり、解離が冠動脈に及ぶからだとする説があるが、詳しい機序は不明。

膠原病

・全身性ループスエリスマトーデス(SLE)の蝶形紅斑は斑状紅斑が癒合したものである。

 そのため、初期ははっきりとした蝶形紅斑をつくらず、皮疹に見える。このことと紅斑が鼻唇溝にかからないことが皮膚筋炎による紅斑(?)との相違である。

 

内分泌

バソプレシンは睡眠中に分泌が亢進する。

夜間はバソプレシン血中濃度が上昇するので尿量が抑えられる。したがって、尿崩症では夜間頻尿が現れる。

 

感染症

・クリンダマイシンには殺菌作用があるだけでなく、外毒素の産生抑制効果がある。

 クリンダマイシンはリボソーム50Sを阻害するため、外毒素の産生も抑制する。そのためクリンダマイシンは溶連菌やClostridium spp.などに有効。他の抗菌薬、例えばマクロライドはどうだろう?

・βラクタム系抗菌薬を多量に投与すると、逆に効果が弱まることがある。

 これをイーグル効果(Eagle effect)という。理由は不明だが、細菌の増殖速度が遅くなるのでβラクタム系抗菌薬(細胞壁合成の阻害効果を持つ)が効きにくくなるとする説がある。

・伝染性紅斑、麻疹、風疹の皮疹は、病原菌そのものではなく過敏性反応が作る。

したがって皮疹を検査してもウイルスは出てこない(⇔ヘルペスウイルスによる皮疹)。ブドウ球菌熱傷様表皮症は血流で運ばれた毒素によって表皮剥離が起こるので、これも病巣に起因菌はいない。